アポリカ!通信 2024年7月:『Beyond the English Language』

 新しい板橋区役所前のジムで、小2の女の子に『Turtle Teacher!』と呼ばれるようになった🐢 たまたま緑色のTシャツを着ていただけのことなのだが…。次に甲羅を背負って出迎えたら爆笑間違いなし、だろう。

 そう言えば、5月にこのコラムで生徒の塾での様子を書いたら、保護者の方から感謝のメールとお菓子まで頂いてしまった…。ご家庭との繋がりと、自分の仕事が喜ばれていることを実感できたので、今月も思い付くまま、現場の生徒について書いてみようと思う。

 板橋区役所前の土地柄か、ジムという形態だからか、韓国からの留学生Aさんと出合い、英語を教えることになった。目標を訊ねると、3年後のアメリカ留学の為に、英語を勉強したいと言う。希望する専攻分野は哲学、文学、アート等だそうだ。日本語はすでに堪能で、自然に会話をすることができる。これまで私の生徒のほとんどが日本人だったが、紆余曲折を経て韓国人とも交流が始まって、新たな地平を楽しんでいる自分がいることに気付く。

 私自身はK-POPや韓国映画/ドラマなどのいわゆる『韓流』ブームに一度も巻き込まれずに過ごしてきた。でも自分の生徒の興味には興味があるので、生徒の好きな歌手やグループを知れば、詳しく教えてもらったり、自分で調べて聴いてみたりした。あるK-POPグループの影響で美容に気を遣うようになった男子が、さらに美容商品の開発、化学という科目に興味を持ち出した時も、K-POPの(わずかな)知識が進路指導に役立ったこともあった。

 自分は辛いものが苦手なのでキムチが食べられないが、石焼ピビンパは好きだ。新大久保の街並みがずいぶん変わって今では、、とか韓国のスイーツが進化して、、などと聞いても特に自分が影響を受けることはなく、『韓流』という言葉が’Hallyu’となってイギリスのオックスフォード辞典に載り、世界中を席巻するのを知りながらも、どこか遠巻きに韓国を眺めていた。しかし、、

 音楽が好きというので、どんなの聴くの?と訊いてみると、恥ずかしそうに「Rock‥Shoegazer」と答えてくれた。お、いいね! そうか、韓国にもポップスだけじゃなくて、オルタナティブな音楽、インディーズのシーンもあるんだな。と思いきや、日本のサンリオキャラクターも好きで、やはり英語で色々と紹介してくれた。英語を教えながら、異文化交流もできて、韓国人について少しずつ理解できるのが楽しい。異文化交流イベントを企画したら、みんな来てくれるだろうか。英語力もグングンと上達して、入塾した時は英検準2級レベルだったのが、1ヶ月もしないうちに、もう2級を目指すようなレベルまで来てしまった..。「『信頼できる』って英語で何て言いますか?」と訊かれたので、dependable..いや、reliableかな、と教えた。You are reliable.と、わざわざ英語で伝えてくれて、、、ちなみに今月の画像はAさんにもらったコメントだ。カムサハムニダ!

 韓国でも、今は雨季らしい。Aさんのお陰で隣の国が随分近くに感じられるようになった。

 

 中学生の頃から通ってくれている私立高校3年生のBさんが、念願の英検準一級合格を果たした。模試の結果は常に良く、先週見せてくれた直近の志望校判定では、第一志望校でC判定、抑えのMARCHレベルではすべてA判定が出た。順調だ。今年の受験生で一番の努力家で、語句も毎週100個、多いときは200個ぐらいの範囲でテストしても8割以上取る。文法・語法など知識面の心配は皆無で、聴く技術も十分に身に付けているはずなのに、いざリスニングテストとなると点数が伸びず、いつも鬼門となっていた。そんな経緯から、彼女の合格は関係者の誰もが待ち望んでいた結果だったので、その一報に教室が湧いた。

 リスニングでは目に見えない音声情報をある程度正確に捉える必要がある。特に一度しか流れないとなると、心理面の影響が出やすいとも言える。ストイックな性格からか、リスニングが課題どころか『苦手』だと思い込んでしまったり、それを頻繁に口にしてしまったりすると、心に『苦手』の焼印が押されて、伸びるものも伸びない。でもいつか聞こえるはず、と信じてトレーニングを続けた結果、ようやく「(準一級レベルでも)かなり解るようになってきた」と言うようになった。

 ネット記事や動画の影響からか、リスニング力アップにはシャドゥイングがよい、と安易に言う人が多いが、これにはコツがいる。初心者~中級者は注意が必要だ。間違った方法でトレーニングを続けても伸びないし、変な癖が染み付いてしまうと、あとから修正するのも難しくなる。効果を最大限に高めるには、個人毎に違うメニューを作らなければいけない。

 リスニングと言えば、世界中には様々なアクセントがある。例えば連合王国(UK)内でも、イングランド人がスコットランド・アクセントを理解できない、ということはよくある。イギリス人でも理解できないものは、日本人には到底理解できない。リスニング練習ではあまり神経質にならずに、アクセントや言葉の違いを楽しむくらいが丁度よいと思う。

 違いと言えば、ライティングで方言を書いたら、どこまで正当に採点されるのだろうか。エレベーターを ‘elevator'(アメリカ英語)ではなく ‘lift'(イギリス英語)と書いても大丈夫なのだろうか。ニュージーランド英語は? スコットランド英語は?? 英検協会に訊いたら、答えてくれるだろうか。

【英語アクセント 参考動画】

アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダのアクセント

世界中の英語アクセント×65

仲良しスコットランド人親子によるスコットランド英語の解説