アポリカ!通信 2024年2月:『Let us show you some sho-yu』

今年ももう2月…。気付けばアポロン開業から7年、なんと2500日以上も経っていた👴 親戚とか、アポロン生(主に小学生)にも「白髪、増えたね」と挨拶代わりに言われる度に、半ば強制的に時間の流れを感じさせられる。

 ときわ台と仲宿の新教室を行ったり来たりしながら、頭で新年度の時間割を考えつつ、自分の時間をもっと大切に使おうと思うようになった。『時間』と言えば、その概念から使い方まで、古代ローマのセネカ然り、近代のハイデガーも然り、時間は存在するとかしないとか、古今東西様々な論考が繰り広げられてきた。入試問題でも、時間をテーマとする長文問題が出ることがある。学びと時間は切っても切り離せないということで、今月は『塾の時間』について書いてみる。

 昨日、偶然にも高校生の文法単元『比較』で、こんな英文が出ていた。

Nothing is as precious as time.

時間ほど貴重なものはない。

「お金は不平等、人生も不平等、でも時間は平等」とは巷でよく言われることだ。かつては日本人は遅刻をしない、電車もね、、とよく評価されていたが、グローバル化が進んだせいか、そんな美徳は今や見る影もない。学生に、暇な時間に何をしているかと訊けば、大体「動画」とか「SNS」と答える。「ただ何となく」ダラダラと眺めている子も多いだろう。

 ただ何となく『おすすめ』を眺めているだけで、気付けば一日は終わっている。スイスの友人と話したら、スイスの子どもたちも同様だそうで、同じように嘆いていた。何かを学ぶ為という目的や、発見や創作に繋がるような探求心などがあるといいのに、と思う。例えば音楽制作ソフトウェアの操作、サッカーのドリブルの仕方、宇宙の謎、等々、世界中の集合知が手に入る。目的があれば、時間を浪費しないで済む。

 あるニュースによれば、ある醤油の老舗醸造元が、丹精込めて2年間かけて作った醤油をたった『300円』で売っていることに、外国人観光客が「OMG!」と衝撃を受けているらしい。日本食が世界的に普及して醤油の需要が高まり、本物を求めてはるばる来日して手にした醤油がたった300円、とはどういうことなのだ、と。2年という時間と手間、培った技術を考慮して、価格は決めるべきではないのか。価値と価格は違う、ということなのだろうか。それとも、グローバルな視点では、日本は熟成された技術を叩き売りするような先進国なのだろうか。

 先日、ある保護者の方が、うちと他の塾との違いを気付かせてくれた。そこらの塾では学生講師がほとんどだとは知っていたが、求人広告には『解答を見ながらでも大丈夫!』などと書いてあるのを見て、さすがに疑問に感じたらしい。最近では小学生や中学生に動画を見せて、新米の学生講師が『テキストを見ながらサポート』するような塾もある。動画をサクッと見てもらって、あとは答えを見ながら応援します?! ファストフード、ファストファッション、そしてついにファストエデュケーション。教育って、そんなもんで良いのか?

 我々プロ講師の授業を醤油に喩えるのもおかしいかも知れないが、それなりの時間を掛けて熟成してきた。それが高価かどうかはさておき、これからも教育という仕事と真剣に向きあっていこうと思う。ちなみに、私は学生アルバイト講師の時に「クビ」にして頂いた経験がある。「頂いた」とは皮肉でも何でもなく、本当に感謝しているのだ。頭を下げてまでして、完全に勘違いした自分を見つめ直す切っ掛けを下さった塾長先生に、心から感謝している。だって、あのお陰で教育に目覚めたのだから。

 一つの決断で、時間を掛けないで済むこともある。だから、人生は面白い。

Soy sauce: A beginner’s guide to one of the world’s favorite ingredients

https://edition.cnn.com/travel/article/soy-sauce-beginner-guide-cmd/index.html