アポリカ!通信 2023年10月:『Japan with the World through English』

 今月も色々なことがあった。6年以上通ってくれた『国際人』Mが念願のオーストラリア留学に出発、現地メルボルンの大学寮からメッセージを送ってくれた。元同僚が、10年ぶりに教室まで会いに来てくれた。アポロン賞(→テスト満点でもらえる)や全国模試の偏差値70超えが続々と出た。そして指定校推薦の内定も出せた。他にも、良い出来事がいくつもあった。

 留学したMの記事ですでに書いたように(→アポリカ通信8月 https://apollon-english.jp/324/ )、どの出来事にも、積み上げてきた過程がある(…からこそ価値があるとも言える)。10年ぶりの再会も、振り返れば色々あったし、お互い現場は違えど、理想の教育と目の前の現実との間で、数えきれないほどの葛藤も抱いてきた。アポリカ賞の満点も、偏差値70超えも、そして指定校推薦の内定も、もちろん簡単に取れたわけではなく、それ相応の努力(というか没入?)を払ってきたのを、塾のスタッフ誰もが知っている(※隣のユウリカ!国際予備校では英・数・国・理・社、全科目対応。成績向上者が続出しているらしい…)。

 くさい言い方になるけど、教える方と教わる方、結局は信じられるもの同士が、お互いを支え合ってきて、いまがある。自分の力、成績が思うように伸びずに、悔し涙を流す生徒もいる。特に今の時期は行事なども重なって、英語や数学どころではない、という気持ちになるのも分かる。自分の力を信じ切れずに諦めそうになることもある。そんな時に自分たちを信じてくれる人たちにも、自分(たち)が持っている知見を惜しみなく伝えていきたい。英語というメディアを通じて。

 もっと英語ができるようになりたい、という『向上心』が私自身にあるだろうか。こと英語について言えば、自分を高めよう!と意識的に学ぶというよりは、何か新しい扉を開きたいというか、その先を覗いてみたい、という好奇心から学んでいるように思う。英語で繋がるヒトや文化に興味があるだけかも知れない。正直に言ってしまえば、TOEICを受けたのは単に仕事のためであって(当時は『満点』講師はほとんどいなかったし)、今でもTOEICの勉強自体が面白いと感じることはない。ただし英語(圏)の知識や教養などは、今でも知らないことが多くて刺激的だ。最近、読書の秋ということもあって読みたかった洋書を読み始めたが、やはり本というメディアも素晴らしい。余談だが、『本屋イトマイ』さんで英語学習をテーマに選書させて頂いたので、まだ行かれていない方は、是非🙇‍♀️ (→本屋イトマイ https://www.booksitomai.com )

 その一方で、英語の『教え方』について言えば、相手があって成り立つものなので、どんなに貪欲な向上心を持って鍛錬しても完成することはない。特にうちのスタイルはかなり『インタラクティブ』(相互的に対話して生徒に考えさせて、答えを導き出す)なので、そもそも完成はありえない。そもそも同じことを何度も繰り返し教えるのも飽きるし、生徒の性格やバックグラウンドも多様なので、その場で即興的に教える方がよいと思う。講師のわかりやすく解説する技術は重要だと思うが、指導は連続的なものなので、一回スーパー授業が出来たからといって、魔法のように生徒の英語力を一気に伸ばせない。キュートな女子高生が「うち学校の英語の先生、◯◯だから」と笑顔で酷評する時代。大量の英語教育コンテンツと誘惑がスマホに一元的に詰まっている飽食の時代なので、最終的にはうちのような豊富な知識をベースにしたインタラクティブなスタイルしか、生き残れないのではないか。

 一昨日、ある高1の女子に読解問題を教えていた。グローバル社会論のようなテーマで、アイデンティティ、故郷や伝統文化、高速化された現代社会での時間と空間の感覚なども考えることが求められる、高度な内容の文章だった。授業が終わり、その生徒は教材を片付けながら、「今日の内容、、面白かったです」と言ってくれた。普段からリアクションがそれほど大きくないけど、内容や表現がいつもより難しかったのもあり、今日の授業はイマイチだったかな?と思っていたところに、内心で「面白い」と思ってくれていたとは。わざわざ伝えてくれて、いい子だな、と感心すると同時に、若い知性の萌芽を感じた。これを見られるのが、高校生を教える役得だ。これからどんどん伸びていくはずだ。

 昨日、イギリス人講師のスティーヴに、日本の『国鳥』は何かと尋ねられた。日本を代表する、日本らしい鳥、、トキかな? でも絶滅したと聞いたな、、日本画家だった祖父がよく描いていた鶴かな?と考えながら伝えた後、気になって調べてみたら、『雉(きじ)』だと知った。なるほど、だから桃太郎にはキジが出てくるのか、、と勝手に納得すると同時に、日本人なのに日本の国鳥すら知らない自分が情けなくなった。

 先月書いたコンビニでの交流( https://apollon-english.jp/345/ )もそうだが、日本人的な考え方や人付き合いなど、『日本らしさ』というものは、このグローバルな現代も大切だと思う。日本の建築、服飾、食、音楽や踊り、文学、映画、祭りなどなど、諸文化が孕む日本の美や思想を学ぶことも、国際交流には必要だと思う。自分自身、イギリス留学した時に、スペイン人の文学少女に MISHIMAはなぜ死んだの? と訊かれて、三島がMISHIMAとして世界で知られていることも知らず、知識も見識も無くて何も答えられない(当時の)自分が情けなくなったのを思い出した。まずは自分を知り、自国をある程度知った上で、英語の先に広がる世界と繋がり、学ぶことが大切だと思う。

 と、徒然なるままに書いていると、ある保護者の方から、英語以外にフランス語やドイツ語など、他の言語も教えられないかと質問があった。『国際』予備校という看板にしたのも、英語の先に広がる世界に想いを馳せ、英語圏以外の人々との幅広い交流のハブにしたいと考えていたのも理由の一つだ。何としても期待に応えていきたいと思う、、が、新年度に向けて色々と動きがあり、また忙しくなりそうな予感… To be continued…